2013年03月06日

島原中国人縫製実習生訴訟 「勝訴」、「奴隷労働を断罪」

 島原市の縫製工場で働いていた中国人技能実習生5名が、旅券や通帳を取り上げられて、最低賃金を下回る時給300~350円の賃金で、月180時間超の残業を強いられたとして、縫製会社、協同組合、仲介業者らを相手に未払賃金と慰謝料の支払いを求めた訴訟について、長崎地方裁判所は、合計1064万円の支払いを命じました。

 判決は長時間労働や最低賃金法違反、旅券や通帳の管理、携帯電話を所持し外部との交流を禁止等の一連の行為が人格権侵害にあたるとして会社代表者の不法行為責任を認めました。
 また、協同組合、派遣仲介会社、さらに、協同組合理事と派遣仲介会社の経営者個人の共同不法行為責任も認めました。

 なお、縫製会社は倒産により消滅したため未払賃金は判断されませんでしたが、最低賃金法が適用されないとされていた研修期間中の作業は労働であるとして最低賃金法が適用されるとの判断を示しました。

 弁護団は原告らのほぼ全面勝訴と言っていい判決と述べています。

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弁護団の声明を紹介します。

 本日、長崎地方裁判所民事部(井田宏裁判長)は、中国人技能実習生5名が、低賃金長時間労働等の違法な状況下での労働を強いられたとして、有限会社A、B協同組合、C株式会社、財団法人国際研修協力機構(以下「JITCO」という)らに対し、未払賃金及び慰謝料等の支払いを求めた訴訟につき、破産した有限会社A、B協同組合及びその理事長、C株式会社及びその代表取締役に対して、連帯して総額1015万円の損害賠償金、有限会社Aの元代表者に対して総額49万円の損害賠償金の支払を命ずる判決を下した。

 外国人研修・技能実習制度は、「国際貢献」という美名のもとに導入されたが、その真の目的は、安価な労働力の確保である。

 制度導入以来、奴隷労働とも言うべき低賃金長時間労働、旅券の取上げ、強制貯金、暴力・暴言、セクハラなど、研修生・実習生に対する人権侵害が全国で多発した。

 本日の長崎地方裁判所においても、研修生の労働者性を認めた上で、破産した有限会社Aの取締役らが、原告らの逃亡を防止するために、旅券や預金通帳の管理や私生活上の自由を制限し、長時間労働、最低賃金を大きく下回る賃金のもとで働かせたという奴隷同然の労働実態につき、原告らの人格権を侵害するものとして慰謝料の支払いを命じ、厳しく断罪した。

 また、B協同組合及びその理事長らに対しても、原告らの選抜から残業代の決定、逃亡等の禁止等への関与、地方入国管理局に対する虚偽報告等を認定し、有限会社A取締役らによる人格権侵害行為を幇助したとして共同不法行為責任を認め、その組織的不法行為実態を糾弾した。

 さらに、C株式会社に対しても、中国の送出機関による、日本の受入機関に対するサポート強化のために設立された会社として、研修生の試験・面接の段階から関与し、原告らに対する長時間労働、低賃金労働、逃亡防止等の人格権侵害を幇助したとして共同不法行為責任を認め、国際的な組織性を明らかにした。

 しかしながら、JITCOについては、適正な指導をすべき作為義務自体を否定し、不法行為責任を否定したことは極めて不当というべきである。

 莫大な違約金を課した上で、旅券や賃金等を管理し、長時間・低賃金労働を強いるなどというのは、前近代的な人権侵害である。

 国内外からの批判を受け、2010年7月1日には、制度改正・施行により、労働関係法規の適用や保証金・違約金の禁止、団体による監理強化等が図られた。

 しかし、依然として違法労働事案・人権侵害事案は後を絶たないでいる。

 本制度が、経営の逼迫した中小零細企業の生き残り策として利用されている以上、実習生らが単に「安価な労働力」として扱われ、個人の尊厳が踏みにじられてしまう危険を内包したままなのである。

 我々弁護団、本件訴訟と原告らの支援を続けてきた長崎県労連及び各支援者は、本件訴訟の原告らのみならず、依然として被害の声すらあげることができない多くの外国人実習生の救済のために、引き続き全力で闘う。

 各位の支援を心からお願いする。

 2013年3月4日

 朋友‐島原中国人縫製実習生損害賠償等請求事件弁護団


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