2014年11月28日

インドネシア人「短期滞在」労働者、労働審判で勝利!

本日(11月28日)、インドネシア人6名の労働審判の調停が成立し、弁護団が長崎県庁で記者会見しました。

この事件は、県内に本社のある農業生産法人が、インドネシア人6名を、就労ができない「短期滞在」という資格で日本に入国させ、「研修」名目で諫早干拓地内の農場で3か月間労働をさせながら、日本では賃金を払わず、今年3月にインドネシアに帰国後、日本より低いインドネシアの賃金水準で賃金を支払った、というものです。

きっかけは、諫早湾干拓農地で働いていた別のインドネシア人技能実習生から今年のはじめに寄せられた、未払い賃金に関する労働相談からです。
実習生のほうの未払い賃金については、4月までに労使交渉により解決したのですが、今回の「短期滞在」労働者6名については、6月23日、正当な賃金の支払いを求め権利救済を図ることを目的に、長崎地裁に労働審判を申し立て、審理が続いていたものです。

労働審判では、インドネシア人の「活動」について、法人側は当初「研修」と主張しましたが、労働審判委員会は6名の主張どおり「労働」と判断、そのうえで、(日本の基準で)最低賃金は支払われなければならないとの見解が示されました。
この見解とタイムカードの記録に基づいて示された調停案を法人側が受け入れ、3回目の期日が行われた本日付けで調停成立となりました。

一方で、6月に行った入管法違反(不法就労助長罪)での刑事告発も、現在、諫早警察署で捜査が進んでいます。

最近は、東南アジアからの技能実習生が増えていますが、今回のような形態で外国人を安く働かせる事件は初めてだと思われます。

技能実習生の労働環境については、2010年7月の入管法改正以降も改善されたとはいえず、むしろ、大使館や自治体も一緒になって「安価で素直な労働者」を売り込んでいます。
外国人技能実習制度は廃止し、単純労働者の受け入れについては正面から議論するよう、関係機関にむけての動きが引き続き必要です。

不法な働かせ方を許さないために、今回の勝利が活かせればと思います。

写真は、県庁で記者会見を行うインドネシア人労働者弁護団。
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2013年10月25日

中国人実習生訴訟控訴審に「控訴棄却」の勝利判決

今日、13時10分福岡高裁で「控訴棄却」の判決が出されました。
弁護団声明は下記のとおりです。

みなさまのこれまでのご支援に感謝申し上げます。引き続き、事件の全面解決までご支援をお願いします。


【朋友−島原縫製実習生訴訟弁護団声明】


1 本日,福岡高等裁判所第4民事部(原敏雄裁判長)は,長崎県島原市の縫製工場で起きた中国人技能実習生5名が受けた違法労働及び人権侵害事件につき,一審判決を維持し,縫製会社の代表取締役ら2名の控訴を棄却した。

2 一審判決は,被控訴人等の研修生時代の労働者性を認めた上で,縫製会社の代表取締役らが中国人実習生の逃亡を防止するために,旅券や預金通帳を管理したうえ,最低賃金を大きく下回る賃金で長時間労働させた,という奴隷同然の労働実態を認定し,これらの行為が実習生らの人格権を侵害するものとして,代表取締役及び取締役に連帯して1015万円の損害賠償を命じた。また,代表取締役に対して,セクハラ行為に基づく損害賠償として,さらに49万円の支払いを命じた。また,一審判決は,監理団体である事業協同組合や外国人技能実習制度を仲介する仲介業者にも賠償を命じる画期的な判決であった。

3 縫製会社の代表取締役らは,実習生らに対する奴隷労働の事実やセクハラ行為を否定しようと本件控訴を行ったものであるが,本日の控訴審判決は,これらの主張を一顧だにせず,控訴を棄却した。

また,控訴審では,和解の話し合いがもたれたが,縫製会社の代表取締役らは裁判所の提案額を大きく下回る,著しく低額な金額しか提示せず,実習生らの期待を踏みにじった。

4 外国人技能実習制度は,2010年7月1日より新制度が施行され,旧制度では認められていなかった来日1年目からの最低賃金法等の労働関係諸法が適用されることになった。

しかしながら,米国は国務省人身取引報告書(2013年6月19日)において,「日本政府は技能実習制度における強制労働の存在を正式に認知しておらず,本制度の悪用から技能実習生を保護するための効果的な管理・措置が不足している」と指摘するなど,国際的に批判されている。また,一審判決後も,長崎県内の縫製会社で受け入れられたバングラディシュ人技能実習生が京都地方裁判所に同種の訴訟を提起するなど,外国人実習生等をとりまく過酷な環境は依然として存在している。

5 我々弁護団,長崎県労連及び各支援者は,本件訴訟の被控訴人等のみならず,依然として被害の声すらあげることが出来ない多くの外国人実習生のために,引き続き全力で闘う決意である。各位の支援を心からお願いする。

2013年10月25日

朋友−島原中国人縫製実習生損害賠償等請求事件弁護団

2013年04月01日

中国人実習生裁判の長崎地裁、控訴は元社長夫婦のみ。派遣ブローカーの共同不法行為を認める画期的判決が確定。

3月4日に長崎地裁で判決が出た「朋友−島原中国縫製実習生損害賠償等請求事件」について、被告の控訴状況が判明しました。
「画期的判決」が確定した部分もありますので、ちょっと長いですが、下記にご紹介します。

被告等         
T男【R社代表取締役】・・・勝訴〜控訴
M子【T男の妻(R社取締役)】・・・勝訴〜控訴
U協同組合 【第1次受入機関】・・・勝訴〜判決確定
N男【U協同組合代表理事】・・・勝訴〜判決確定
S社【派遣ブローカーの日本代理店】・・・勝訴〜判決確定(控訴取下げ)
H男【S社代表取締役】・・・勝訴〜判決確定(控訴取下げ)
公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)・・・敗訴〜判決確定
R社(働いていた縫製工場)第2次受入機関(破産により免責)・・・被告でなくなった
訴外:I子〜通訳の中国人女性。S社の取締役(当時)

S社とH男は3月15日に控訴の手続きを取りましたが、3月28日「控訴取下げ書」を提出し、長崎地裁の判決が確定しました。
福岡高裁はT男、M子の2人の控訴審となります。

長崎地裁判決の評価
 原告弁護団は長崎地裁の判決を「全面勝利に近い」と評価している内容は次のとおりです。

〇研修生も労働者であると認めた。
〇未払賃金の金額を原告主張の97〜99%で認めた。
〇著しい長時間労働、最低賃金を下回る賃金、旅券や預金通帳の取り上げ、携帯電話などをもたせず外部の人たちとの交流禁止などを、人格権の侵害と認めた。
〇M子もT男と一緒になって不法行為を行ったと認めた。
〇T男のセクハラ、体罰にも損害賠償責任を認めた。
〇R社とT男はすでに破産したのでT男は破産法により損害賠償義務はないとは主張したが、判決はT男の不法行為は「破産者が悪意で加えた」と認め、破産しても免責されないと判断した。

以下は長崎地裁の判決が確定した部分です。

☆これまでの同種裁判の判決では、協同組合の不法行為について「第二次受け入れ機関への管理義務違反」と認定していたが、本判決は「社長らに不法行為を積極的に手助けした(幇助)」と、より進んだ判断になった。
☆派遣ブローカーは外国人実習生の受け入れや待遇に深く関わっているが、表面化することが少ないため、これまで裁判で不法行為を明らかにすることができなかったが、本裁判はブローカーの不法行為責任を認めた初めての判決(画期的判決)となった。
☆協同組合とブローカーの代表者個人の損害賠償責任を認めた。

今後のたたかい
 控訴した被告は、5月10日頃までに「控訴理由書」を裁判所に提出します。地裁判決のどの部分が不服で、その理由は何かが明らかになります。原告弁護団は「控訴理由書」にもとづき、被告の主張に反論し、福岡高裁では地裁で勝ち取った判決を確定させるために頑張ります。「朋友−守る会」も裁判傍聴などにとりくみます。

 また、長崎地裁の判決で債務について「仮執行できる」となっています。協同組合と代表理事、派遣ブローカーと代表者は判決が確定したので「本執行」になります。順次、被告に対して仮執行・本執行の手続きをとっていくことになりました。

長崎地裁判決の概容
判決文は167ページと大変長いので、主な部分について報告します。

争点(1)研修期間中の労働者性
労働基準法9条、最低賃金法2条の労働者にあたる

争点(2)T男らの責任
(1)違法な状態での作業従事で人格権を侵害
ア 原告らの置かれていた状況~R社で就労する以外、日本で適法に生活できない状況、指示に不満があっても拒否困難な状況、T男はその状況を認識
イ 著しく長時間の作業 労働者の人格権等を侵害(労働基準法32条)
ウ 著しく少ない休日~ 労働者の人格権等を侵害(労働基準法35条)
エ 最賃額を著しく下回る賃金~労働者の人格権等を侵害(最低賃金法4条1項)
オ 旅券の管理~移動の自由に係る人格権等の侵害
カ 預金通帳の管理~労働者の人格権等を侵害(労働基準法18条1・24条1)
キ 私生活の自由を侵害~携帯・パソコンの所持を禁止し他者との交流を禁止→人格権等を侵害、労働基準法94条1項違反、労働状態を維持する手段として禁止したと認める
ク 叱責と寮費の徴収~原告主張は不採用、請求棄却。
ケ T男のイ〜キは不法行為か~相互に密接に関連しており、一連の行為と評価し、原告の人格権等を侵害する不法行為を構成(本件不法行為@)
コ M子はT男を共同して本件不法行為@を行ったか~M子はアの状況を認識し、イ・ウ・エを認識(予見)・認容していた。T男と共同して本件不法行為@を故意に行った。T男とM子は連帯して損害賠償金支払い義務を負う。共同不法行為(民法719条)

(2)臀部などを触るなどの行為
T男の原告ドゥ・ミャオ・レイ・ワンへの行為を認めた。~原告ドゥ・ミャオ・レイ・ワンの性的自由を侵害。T男は損害賠償金支払い義務を負う(本件不法行為A)民法709条

(3)暴行 T男の原告ミャオ・ワンへの暴行を認めた。
原告ミャオ・ワンへの不法行為を構成。損害賠償金支払い義務を負う(本件不法行為B)民法709条

争点(3)N男の責任 研修中の違法な残業と残業代を容認するよう要求。
N男はT男らの本件不法行為@を容易にして幇助。幇助に故意があった。
N男はT男らと連帯して損害賠償金支払い義務を負う(民法719条)

争点(4)U協同組合の責任
N男は当時U協同組合の代表理事であり、その職務を行うについて、本件不法行為@を幇助した。T男ら、N男と連帯して損害賠償金支払い義務を負う(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条)

争点(5)H男の責任 研修生の選抜に関与し、残業に関わる行為を容易にすることを認識(予見)・認容し、本件不法行為@を容易にして幇助した。
I子の幇助行為に係るH男の不作為 I子は、5期生の研修期間中の残業代を受領し、原告に残業代を容認するよう要求。これらの行為はT男らの低賃金・長時間労働を容易にした。
I子はT男らに本件不法行為@を容易に幇助した。
H男は当時S社の代表取締役であったが、I子が上記の行為をしないための措置を講じなかった。
H男はI子の行為及びI子の行為がT男らの残業に係る行為を容易にすることを認識(予見)・認容していた。
H男はS社の代表取締役として、取締役であるI子が業務の遂行について不法行為ないしその幇助をしないよう監督すべき義務があるのに、義務に違反して行為をしない措置を講じなかった。H男はI子と共同して、残業代受領、残業代の容認の幇助行為をした。
H男は本件不法行為@について、T男ら、N男、及び協同組合と連帯して損害賠償金支払いの義務を負う(民法719条)

争点(6)S社の責任 H男は当時S社の代表取締役であり、その職務で本件不法行為@を幇助した。T男ら、N男、協同組合及びH男と連帯して損害賠償金支払い義務を負う(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条)

争点(7)JITCOの責任
JITCOは民法上の財団法人であり・・・報告を求めたり指導をおこなったりする法的権限を有しない。(請求棄却)
原告の主張する調査を行わなかったことは不法行為ではない。(請求棄却)

争点(8)T男の損害賠償義務が破産免責されるか
(1)T男は本件不法行為@〜Bの損害賠償義務は、破産法253法1項2号に当たらないので破産免責されると主張 破産法253条1項2号=「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」は非免責債権である。
(2)T男の損害賠償請求権について検討
上記の「悪意」とは、単なる故意でなく、他人を害する積極的な意欲=「害意」
T男は本件不法行為@を単に認識(予見)・認容したにとどまらず、意欲して行為をした。
本件不法行為A。Bも意欲して行為した。
よって破産法253条1項2号に当たり、非免責債権である。

争点(9)損害及びその額  
(1)未払賃金相当額の損害
R社の破産決定により原告は賃金債権と同額の未払賃金相当額の損害が生じたとはいえるが、その損害はR社の破産により生じたもので、本件不法行為@〜Bとの因果関係はない。(請求棄却)

(2)寮費相当額~寮費の徴収は不法行為ではない。(請求棄却)

(3)4期生の帰国寮費~本件不法行為@〜Bと帰国旅費の因果関係はない。(請求棄却)

(4)5期生の逸失利益~本件不法行為@〜Bそれ自体は平成21年12月20日以降の就労を妨げる行為ではない。因果関係はない。(請求棄却)

(5)慰謝料  
ア 本件不法行為@により原告が受けた精神的苦痛に対する慰謝料
4期生 一人あたり200万円
5期生 一人あたり150万円
イ 本件不法行為Aにより原告が受けた精神的苦痛に対する慰謝料
原告ドゥ・レイ  一人あたり5万円
原告ミャオ・ワン 一人あたり15万円
ウ 本件不法行為Bにより原告が受けた精神的苦痛に対する慰謝料
原告ミャオ・ワン 一人あたり2万円

(6)弁護士費用
原告リ 25万円
原告ドゥ  25万5000円
原告ミャオ 27万円
原告レイ 20万5000円
原告ワン 22万円

(7)各原告の損害  総額1064万円
原告リ 225万円
原告ドゥ  230万5000円
原告ミャオ 244万円
原告レイ 175万5000円
原告ワン 189万円

−以上−

2013年03月06日

外国人実習生 差別・抑圧・搾取のシステム 島原中国人縫製実習生の経過

3月4日長崎地裁で判決が言い渡された「朋友−島原中国人実習生訴訟」の経過については、学習の友社から2013年1月10日に発行された「外国人実習生 差別・抑圧・搾取のシステム」に掲載されています。

学習の友社の了解を得て、下記に転載します。

ぜひ、この本をご購入いただき、外国人技能実習生の労働実態、制度の背景、問題の本質を多くの方に知っていただきたいと思います。

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長崎  ブローカーも被告席に

柿森紀和子 長崎県労働組合総連合

日本に来て地獄に落ちたと思った

2009年12月3日、全労連が開催した「外国人研修生問題会議」に参加した長崎県島原市の中国人縫製実習生の杜微(ドゥウェイ)さんは、会議の最後に「日本に来て、地獄に落ちたと思いました。私たちはまもなく中国に帰りますが、裁判を起こしたい」と述べました。

事件が発覚したのは、その3か月前のこと。社長の暴力がきっかけで長崎県労連に相談がありました。1月180時間を超える残業をし、残業代が時給300〜400円という待遇を、「3年すれば帰国できるから」とひたすら我慢してきた彼女たちは、労働組合加入後、会社などの脅迫にも屈せず、自らの人権と尊厳を守るたたかいに立ち上がりました。
労働組合に加入した時は、研修生2人、実習生が5人でしたが、研修生だった2人が第1次受け入れ機関の協同組合から強制的に別会社へ異動させられ、翌日、労働組合脱退届が郵送されてきて、私たちは2人を手放さざるをえなくなりました。残った5人のうち、3年の満期を迎えた3人は12月中旬に帰国。入国2年の2人を県労連で5か月間保護し、2010年2月15日、長崎地裁に損害賠償等請求訴訟をおこしました。

5人は、上海から高速道路を走って5〜10時間ほどの農村部の、標準的な家庭の娘さんたちです。家電製品が急速に普及するなかで、家計を助けたいと日本への出稼ぎを決意しました。先進国の日本で働けるという夢は、3年間家族と離れる寂しさを凌いだのでしょう。

しかし、日本での毎日は彼女たちのあこがれも希望も打ち砕く過酷なものでした。彼女たちは来日にあたって本国で年収3年分にあたる借金を背負ってきており、借金が返済できないまま強制帰国させられることを恐れて、どんなに辛い仕事でも黙って従うしかない状況におかれていました。ましてや、日本人に助けを求めることなど考えもつかなかったことでしょう。原告の一人は「労働組合に保護されて初めて、自分は日本に来たと思った」と言いました。

2009年9月、社長の暴力事件のあと、彼女たちは会社や協同組合と自分たちとの会話を録音し、研修生時代の残業記録が記された会社の労働時間ノートを録画していました。私たちに相談する前のことで、「いつか役に立つかもしれない」と思って録音、録画したそうです。裁判ではこの録音、録画が決定的な証拠となりました。

裁判の被告は、@働いていた会社、A社長、B社長の妻、C第一次受け入れ機関の協同組合、D協同組合の代表者、E日本側ブローカー、Fその経営者、GJITCOの8者でしたが、会社はその後倒産し、協同組合は福岡入国管理局から3年間の受け入れ停止処分を受けて解散してしまいました。

お金はとれなくても裁判は続ける

裁判に勝っても請求している未払賃金などの回収は大変困難になったことを受けて2011年8月、弁護団は中国の原告に手紙を出し、訴訟を継続するかどうかの意思確認をおこないました。5人の原告はすぐに、「お金はとれなくても自分たちの尊厳と、日本にいる実習生の待遇改善のために裁判を最後までたたかう」と返事をくれました。弁護団、支援者が彼女たちの健気な決意に胸打たれたことはいうまでもありません。

5人の原告は帰国後次々に結婚し、それぞれ男子を出産しました。2012年5月、原告本人尋問で法廷に立つため、生後1年に満たない子どもを置いて来日した原告の李娜娜(リナナ)さんと繆雲麗(ミャオユンリ)さんは、集まった支援者に次のように話しました。
「いま2人来ていますが、3人の仲間は中国に残っています。いままでの裁判は毎回関心をもって、5人でいつも話し合ってきました。会社が倒産したり、協同組合が解散したり、この2年の間にいろいろ変化しました。私たちは、裁判を始めたときからお金をもらうつもりはありませんでした。後輩のたくさんの実習生に私たちのようなひどい待遇を受けさせないために裁判を続けています。最後までやってぜひ勝利したいです。私たちは最初からそう思っていたのではありません。多くの支援者のみなさんが支えてくれているので、こんな気持ちになりました」

会社・ブローカーのあきれる証言が次々と

2か月後の7月、被告側の証人尋問があり、出廷した社長は録画、録音を突き付けられて残業隠しの二重帳簿作成やでたらめな書類への署名指示を認め、セクハラも追及されました。ブローカーの経営者は、協同組合の社長たちを中国でいかがわしい場所へ接待していたという証言もしました。

このブローカーは、原告のうち雷麗華(レイリファ)さんと王麗琴(ワンリチン)さんの研修生時代の残業代一人当たり53万円を会社から預かっています。残業を隠ぺいするために、会社、協同組合と日中のブローカーが結託して集金し、3年間何事もなく帰国すれば支払われる仕組みになっていました。
長崎の事件は全国で唯一、日本側ブローカーを被告にしています。外国人実習生をめぐる不正行為には日本と母国のブローカーが深く関わっており、ブローカーを断罪する判決をぜひとも勝ち取りたいと願っています。

島原中国人縫製実習生訴訟 「勝訴」、「奴隷労働を断罪」

 島原市の縫製工場で働いていた中国人技能実習生5名が、旅券や通帳を取り上げられて、最低賃金を下回る時給300〜350円の賃金で、月180時間超の残業を強いられたとして、縫製会社、協同組合、仲介業者らを相手に未払賃金と慰謝料の支払いを求めた訴訟について、長崎地方裁判所は、合計1064万円の支払いを命じました。

 判決は長時間労働や最低賃金法違反、旅券や通帳の管理、携帯電話を所持し外部との交流を禁止等の一連の行為が人格権侵害にあたるとして会社代表者の不法行為責任を認めました。
 また、協同組合、派遣仲介会社、さらに、協同組合理事と派遣仲介会社の経営者個人の共同不法行為責任も認めました。

 なお、縫製会社は倒産により消滅したため未払賃金は判断されませんでしたが、最低賃金法が適用されないとされていた研修期間中の作業は労働であるとして最低賃金法が適用されるとの判断を示しました。

 弁護団は原告らのほぼ全面勝訴と言っていい判決と述べています。

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弁護団の声明を紹介します。

 本日、長崎地方裁判所民事部(井田宏裁判長)は、中国人技能実習生5名が、低賃金長時間労働等の違法な状況下での労働を強いられたとして、有限会社A、B協同組合、C株式会社、財団法人国際研修協力機構(以下「JITCO」という)らに対し、未払賃金及び慰謝料等の支払いを求めた訴訟につき、破産した有限会社A、B協同組合及びその理事長、C株式会社及びその代表取締役に対して、連帯して総額1015万円の損害賠償金、有限会社Aの元代表者に対して総額49万円の損害賠償金の支払を命ずる判決を下した。

 外国人研修・技能実習制度は、「国際貢献」という美名のもとに導入されたが、その真の目的は、安価な労働力の確保である。

 制度導入以来、奴隷労働とも言うべき低賃金長時間労働、旅券の取上げ、強制貯金、暴力・暴言、セクハラなど、研修生・実習生に対する人権侵害が全国で多発した。

 本日の長崎地方裁判所においても、研修生の労働者性を認めた上で、破産した有限会社Aの取締役らが、原告らの逃亡を防止するために、旅券や預金通帳の管理や私生活上の自由を制限し、長時間労働、最低賃金を大きく下回る賃金のもとで働かせたという奴隷同然の労働実態につき、原告らの人格権を侵害するものとして慰謝料の支払いを命じ、厳しく断罪した。

 また、B協同組合及びその理事長らに対しても、原告らの選抜から残業代の決定、逃亡等の禁止等への関与、地方入国管理局に対する虚偽報告等を認定し、有限会社A取締役らによる人格権侵害行為を幇助したとして共同不法行為責任を認め、その組織的不法行為実態を糾弾した。

 さらに、C株式会社に対しても、中国の送出機関による、日本の受入機関に対するサポート強化のために設立された会社として、研修生の試験・面接の段階から関与し、原告らに対する長時間労働、低賃金労働、逃亡防止等の人格権侵害を幇助したとして共同不法行為責任を認め、国際的な組織性を明らかにした。

 しかしながら、JITCOについては、適正な指導をすべき作為義務自体を否定し、不法行為責任を否定したことは極めて不当というべきである。

 莫大な違約金を課した上で、旅券や賃金等を管理し、長時間・低賃金労働を強いるなどというのは、前近代的な人権侵害である。

 国内外からの批判を受け、2010年7月1日には、制度改正・施行により、労働関係法規の適用や保証金・違約金の禁止、団体による監理強化等が図られた。

 しかし、依然として違法労働事案・人権侵害事案は後を絶たないでいる。

 本制度が、経営の逼迫した中小零細企業の生き残り策として利用されている以上、実習生らが単に「安価な労働力」として扱われ、個人の尊厳が踏みにじられてしまう危険を内包したままなのである。

 我々弁護団、本件訴訟と原告らの支援を続けてきた長崎県労連及び各支援者は、本件訴訟の原告らのみならず、依然として被害の声すらあげることができない多くの外国人実習生の救済のために、引き続き全力で闘う。

 各位の支援を心からお願いする。

 2013年3月4日

 朋友‐島原中国人縫製実習生損害賠償等請求事件弁護団


2012年11月22日

朋友−島原中国人縫製実習生訴訟が結審、来年3月4日判決

2010年2月15日に提訴した「朋友−島原中国人縫製実習生損害賠償請求訴訟」は13回の弁論準備期日(進行協議)、5回の口頭弁論期日が開かれ、11月19日結審し、来年3月4日判決となりました。
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地裁前の集会で、塩塚二朗県労連議長が支援者と弁護団にお礼を述べ、「アジア諸国との友好や交流が思うように進んでいないなか、この裁判闘争を通じて人種や国籍、文化や思想信条を超えて、人間は連帯と絆によって立ち上がり“たたかう”ことができることを証明し、多くの県民から期待が寄せられていることに大きな意義と成果がある」とあいさつしました。(写真上)
法廷では、原告代理人の椛島隆弁護士が意見陳述(下記に記載)し、「外国人実習制度の真の目的は安価な労働力確保であり、実習生たちの『人としての権利』を侵害するもので国際的に非難されている」と述べ、「公正な判決を求める署名」4,452筆を示しながら、「制度的・組織的に生じている悲惨な現実問題を十分認識し、原告らの司法救済、司法による制度の是正を図ってほしい。その結果、原告らが日本を嫌いにならず、またいつか日本に来たいと思ってくれるよう願ってやまない」とまとめました。
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閉廷後、署名を裁判所に提出、弁護団は新聞記者に囲まれ取材を受けていました。(写真上)
 さっそく中国の原告にメールで判決日を知らせると「みなさんお疲れ様です。最後までたたかいます。がんばります」と返事があり、ネットには「2013 3 4特殊的日子,期待 期待」と書き込まれていました。
判決には原告たちも来日する予定ですわーい(嬉しい顔)
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2010年2月15日に長崎地裁に提訴した島原市の縫製実習生の裁判が、11月19日結審しました。
判決は来年3月4日です。
19日の法廷での原告代理人・椛島弁護士の意見陳述がたいへんすばらしい内容だったと、たくさんの方から感想をいただきましたので、下記にご紹介します。
外国人実習生に関わる裁判は全国で、現在20件くらいだそうですが、裁判は献身的な弁護団の活動と、多くの支援者で支えられています。
ぜひ多くのみなさんに、いまの日本でこんな奴隷労働を強いている実態があることを知っていただきたいと思います。

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平成22年(ワ)118号 朋友−島原中国人縫製実習生損害賠償等請求事件

意見陳述書

2012年11月19日
長崎地方裁判所 民事部合議係 御中

              原告ら訴訟代理人弁護士 椛島 隆

1 はじめに

本件訴訟は、外国人研修・技能実習制度(以下「本制度」といいます。)の下、中国人女性5名が研修・実習先の縫製工場において、逃亡防止のために旅券と給与の通帳を強制的に管理された上、最低賃金を大幅に下回る低賃金・長時間労働に従事させられ、さらにセクハラ、体罰、差別待遇等の不法行為を伴った事案であり、最低賃金額を基準とした未払賃金と残業手当及び不法行為に基づく損害賠償を求める訴訟です。

2 構造的・組織的・国際的な違法労働・人権侵害

(1)同じような訴訟は、労働審判を含め、全国でも20件以上は提起されています。訴訟に至っていない、或いは訴訟による救済を受けることさえできない違法労働事案・人権侵害事案は数えきれず、もはや常態化しているといっても過言ではありません。本年10月25日には、厚生労働省より、平成23年に全国の労働基準監督機関が、実習実施機関に対し、2,748件の指導監督を行い、このうちの82%にあたる2,252件で労働基準関係法令違反があり、重大又は悪質な労働基準関係法令違反により23件の送検が行われたことが発表されています。

(2)この制度は、日本の高度な技術を海外に移転し、国際貢献するという建前の下に導入されました。ところが、その実態は逆に国際的な批判を浴びるほどのものなのです。例えば、アメリカ国務省の人身売買報告書や国連人権委員会において同制度が研修生の搾取を招いていると批判され、2010年3月には、日本に住む移住者の人権を調査している国連特別報道者が、「奴隷制度になりかねない」「搾取的で安価な労働力への需要を増幅させ、言論や移動の自由、身体や精神的健康の権利を侵害するような条件下の労働だ」と厳しく非難しました。

(3)そもそも、この制度の真の目的が安価な労働力確保にあることは、誰の目から見ても明らかです。経営が逼迫している中小零細企業が、実習生らを受け入れ、技術指導をして、国際貢献をする余裕などあるはずがありません。海外からの安価な輸入製品に太刀打ちできなくなった中小零細企業が、海外からの安価な労働力、即ち人を輸入することで何とか活路を見出そうとしたものに他ならないのです。

(4)そのため、受入れ企業側は、「お金をかけて海外から輸入した安価な労働力」を「どれだけ安く使うか」ばかりを考え、実習生らの「労働者としての権利」や「人としての権利」という意識が欠落していくこととなるのです。
他方、実習生らは、母国の送出し機関に対して、年収の数年分にも相当する保証金を、借金して支払っており、さらには違約金の定めも負っています。途中で母国に帰されることになれば、莫大な借金と違約金を背負い、家族共々路頭に迷うことになるのです。そのため実習生らは「強制帰国」という言葉に恐怖し、どれだけ労働環境・生活環境が劣悪でも、「耐えるしかない」と自分に言い聞かせ、救済の声を上げることができずにいます。
さらに、実習生らの前には「国の壁」「言葉の壁」という大きな障害も存在しています。誰かに助けを求めたとして、日本ではどうなるのか、誰に助けを求めればいいのか、実習生らに分かるはずもありません。被害を受けた実習生らが、日本と日本人に対して不信感を抱いてしまうのも救済の阻害要因になっています。
この制度は、このような構造的な問題を抱えているのです。

(5)さらに、この制度は国際的・組織的な問題も抱えています。「安価な労働力」の輸出には母国の送出し機関やブローカーが関わっており、しかも実習生らが日本で救済の声を挙げると、母国の家族らに違約金をちらつかせて圧力をかけるのです。
組織的な問題の一面において、重要な地位にあるのが被告の一人であるJITCO(ジツコ)です。JITCOは受入れ送出し機関に適正実施の助言・指導を行うことや実習生らの法的権利の確保のための助言・援助を行うこと等を「使命」とする、公的な団体として設立されました。しかしながらJITCOはその「使命」を全うせぬまま、受入れ企業からの賛助会費名目での実質的な仲介料や申請手数料などにより年間十数億円もの莫大な収入を得ていいます。これではJITCOは違法労働・人権侵害を助長しているものとしか言いようがありません。

(6)このように本制度は、「国際貢献」という美名を掲げながら国際非難を受けるほどの組織的な違法労働・人権侵害が横行している制度なのです。
本件においても、受入企業における違法な労働状況のみならず、そもそも受入企業を指導監督すべき協同組合自体が、研修生・実習生を違法な労働状況で就労させることを前提として組織されており、さらに同協同組合の依頼により、中国の派遣ブローカーの子会社として●●●●が設立され、違法労働状態の維持に寄与したという事実が判明し、安価な労働力確保・違法労働状態維持のための組織的一体性が明らかになりました。

3 司法救済に向けて

原告らは、日本で働いて家計の手助けをしたい、日本の人たちと一緒に働いて交流し、日本の文化・風土にも触れ、日本語も勉強したい等、様々な夢を持って来日していました。しかし、そのような彼女らを待っていたのは莫大な借金・違約金を背負わされ、「強制帰国」の恐怖の鎖で縛られた奴隷労働だったのです。
今回、原告の一人は「労働組合に保護されて初めて自分は日本に来たと思った。」と言いました。せめてもの救いの言葉でしたが、彼女にそこまで思わせるほどの奴隷的労働や詐欺的連行が現代日本で横行しているのです。思いもよらず異国の地で劣悪な労働環境の中、働かせられる実習生らの思いや、そのような日本に子ども或いは妻を送り出してしまった母国の家族の思いはいかばかりのものでしょうか。

研修生や実習生の労働実態・生活実態等が明らかになるにつれて、なぜこうも人の弱みにつけ込んでこれほど酷い労働環境・生活環境で人を酷使できるのかと、憤りとともに許せないという気持ちが湧いてきます。支援者の方々も同じ思いに駆られているに違いありません。本年7月から集められた原告らの適正な司法救済を求める署名は、4452筆にものぼっています。

原告らは、様々な障害を乗り越えて、御庁裁判所に救済を求めました。もっとも、原告らは自らの被害救済のみならず、違法労働状態の温床ともいうべき本制度の改善も強く望んでいます。
裁判所におきましては、制度的・組織的に生じている悲惨な現実問題を是非とも十分に認識していただき、原告らの司法救済及び司法による本制度の是正を図っていただきたいと願っています。その結果、原告らが、日本を嫌いにならず、またいつか日本に来たいと思ってくれるようになることを願ってやみません。
以上。
                                      

2012年07月19日

あきれる証言が次々と・・・朋友―中国人実習生裁判の被告側尋問

「朋友‐島原中国人縫製実習生訴訟」の被告側証人尋問が7月17日開催され、リズミック社長、第1次受入機関の雲仙アパレル協同組合理事長、派遣ブローカーの上海世華貿易社長、上海世華貿易通訳(中国人)の4人が出廷して証言しました。

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−5期生(雷さん、王さん)の研修生時代の残業代を被告上海世華のS通訳が預かっていた証拠(会社の労働時間記録ノート)の録画の静止画像の一部。原告側の証拠として提出−


◆録画や録音で、被告は言い逃れ不能に

 リズミック社長は「残業は強制したものではなく、たくさん稼ぎたいからと研修・実習生たちが希望したもの」と主張しましたが、原告代理人の反対尋問で、中国人の来日前から会社は残業させることを計画していたこと、労働時間をごまかすために二重帳簿を妻(被告)に作成させていたことを認めました。

 社長は研修生の残業を隠すために、裁判所には研修生時代の労働時間記録を破棄したノートを提出していました。原告側は、原告たちが会社在籍中にビデオ録画した労働時間記録ノートを証拠として提出しており、尋問で社長は録画された部分のノートが存在したことを認めました。

 この録画には、5期生(雷麗華さん、王麗琴さん)の研修生時代の残業代を被告上海世華の施通訳に渡していた事実が写っています。研修生に違法な残業をさせ、隠ぺいさせ、3年間の過酷な労働を強制するために、研修生時代の残業代は中国に帰国してから支払うという、人質のような卑劣な管理をしていました。二人には研修生時代の残業代53万円はまだ渡されていません。


◆セクハラの録音にも言い逃れ

 また、原告たちは当時、自分たちと社長や協同組合理事長らとの会話を録音しており、原告側は録音のコピーと会話のテープ起こしに反訳をつけて提出していました。この中には社長のセクハラや、協同組合理事長と役員らが「研修生の残業は秘密。外にばらすと残業賃は没収する。強制帰国させる」などと研修・実習生を脅している様子が録音されています。

 尋問で録音反訳を突き付けられた社長は、セクハラ部分の記述を「覚えていない」と言い逃れしたものの、原告たちが「ダメ。社長。すけべ。だめよ、お尻」などと社長に抗議している場面について原告代理人が、「あなたは一体何をしたのですか?」と詰め寄ると、社長は「ハイタッチした」と唖然とする回答をしました。

 5月28日・29日に開かれた原告本人尋問で明らかになった、デタラメな中国語が書かれた「賃金の口座振り込み同意書」について社長は、「作成者は知らない」、「協同組合事務局から書くように指示された」、「日付はあとで入れた」などと答え、無責任ぶりを露呈しました。

◆被告同士でくいちがう証言

 リズミック社長は、「残業代の300円は雲仙アパレル協同組合で決めた」と証言しましたが、協同組合理事長は「残業代ではない。内職代300円だ。内職代は組合で一律にした」と強弁しました。

 理事長は、「協同組合はパスポートなどの預かり禁止を指導しており、リズミックへの監査のときパスポートなどは寮内に置いてあるのを確認した」と陳述書で述べていますが、社長は尋問で「パスポートは工場内の事務所に置いていた」と証言。原告代理人が「社長は事務所と証言した。事務所か寮か、どっちが本当ですか?」と詰問、理事長は「寮内」と答えたものの、まともな監査をしていないことが明白になりました。

◆協同組合各社の破廉恥な実態も

 上海世華社長は、リズミック社長や雲仙アパレル協同組合との関わりを、「協同組合から管理費を集金し、中国の送り出し機関(派遣会社)に渡していた。研修・実習生の仲介業務はしていない。協同組合の役員や各社の社長たちが中国に行った時の接待役」と述べましたが、原告代理人が「中国語が話せないのに接待できるのか」と問うと、「ここでは言えない、日本人じゃないといけない場所に協同組合の人を案内していた」と発言。いかがわしい接待をうかがわせる証言に傍聴席は呆気にとられました。

 この「接待」や渡航の費用は中国の送り出し機関(派遣会社)が負担しています。研修生が来日のために借金して支払った年収3年分もの手数料や、会社が残業代300円〜400円で働かせて吸い上げた儲けで「接待」している構図に、研修・実習生を食い物にしている実態が浮かび上がってきます。

◆「会社に無断で通訳の仕事をしても自由」と強弁

 上海世華の取締役であり通訳をしていたSさん(女性)は、「入国前の約束(残業代300円)を守らなければ帰国させる。権利の問題じゃない。社長が刑務所行き、会社が倒産、あなたたちはそれを平気なのか。労働組合から脱退してほしい」などと、原告たちを執拗に脅しているようすが証拠の録音に残されています。Sさんはこれらの発言を、「中国の送り出し機関や協同組合からの要請であり、通訳は個人でやったこと。被告上海世華の指示ではない」と言い張り、上海世華から給料をもらいながら、「勤務時間中に通訳に行ったり、研修生の残業代を預かったりすることは業務外として自由だった」という不明朗な答弁を繰り返しました。

 Sさんは12年前に研修生として来日、被告上海世華社長の縫製工場で3年間働き、帰国後、中国の送り出し機関に就職、2009年9月に上海世華に出向してきました。「研修生のときから残業してはいけないことを知っていた」と述べ、中国でも原告らの実技試験などに関わっていました。

11月19日結審予定。地裁あての署名をすすめてください

 次回(第5回)口頭弁論期日は11月19日(月)11:00〜です。原告代理人が10分間の意見陳述をし、結審の予定で、来春には判決がだされる見込みです。

 長崎地裁あての「公正な判決を求める署名」に取り組んでいます。9月末までとりくみますので、ご協力をお願いします。

署名用紙はこちらです。朋友ー署名用紙(長崎地裁).pdf

2012年06月07日

朋友−中国人実習生訴訟 原告2人が過酷な労働実態や人権侵害を証言

 2010年2月に提訴した「朋友−島原中国人縫製実習生損害賠償請求等訴訟」は、この間、13回の進行協議が開催され、5月28日、29日の二日間にわたって原告本人尋問がおこなわれました。原告の李娜娜(リ・ナナ)さんと繆雲麗(ミャオ・ユンリ)さんは出廷するために5月25日に来日し、島原の縫製工場で働いていたときのようすなどを証言、被告側代理人の底意地の悪い質問にも毅然と回答しました。
 2日間の原告本人尋問でいくつかの新たな事実が判明しました。

■被告側の証拠は中国人が読めない中国語?の書類! 

原告たちは県労連加入後、会社から日付が空白になったたくさんの書類にサインをさせられました。被告側から証拠として提出されていた「賃金の口座振込み同意書」について李さんや繆さんは、「サインはしたが、内容はわからなかった。日本語の下に中国語のようなものが書いてあるが、理解できない」と証言、原告が中国の漢字で書かれた文章を読み上げましたが、裁判の中国人通訳も理解できないデタラメなものでした。

■トイレットペーパーの長さまで管理されていた

 被告側が「たくさんお金をかせぐために原告たちが残業を望んだのではないか」と尋ねましたが、李さんは「日祝日に仕事をしたいとは言っていない。来日後3か月間一日も休みがなかったときは、先輩を通じて何回も休みたいと言ったが、先輩は『言うと社長が怒る』というだけだった」と答えました。また、「毎日目が覚めたら仕事で、何も考える余裕がなかった」と過酷な労働と、トイレも紙の長さを指示されたなどの人権侵害を訴えました。

■「長時間労働、安い賃金、監視や暴力」でドレイのようだった
 
繆さんは仕事中のちょっとしたミスでも頭をなぐられたことや、社長のセクハラに抗議すると「大丈夫、社長はお父さんと同じ」と言われてとても嫌だったことを証言しました。また、「何をもって外国人研修・実習制度は奴隷制度というか」という被告側の質問に「長時間労働、安い賃金、監視や暴力」と怒りをこめて発言、涙を流しながら「後輩たちに私たちのような思いをさせないでほしい」と裁判長に訴えました。


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被告側弁護士は責任のなすりつけに終始
「7月の被告側尋問で奴隷労働の実態、不法性をあぶり出したい」と弁護団


二日目の裁判が17時すぎに終了し、会場を勤労福祉会館に移して報告集会、「朋友‐中国人研修・実習生を守る会」第3回総会が開かれました。

■被告のネライを打ち破った証言

 弁護団は二日間の原告尋問を振り返って、「いい本人尋問だった。原告二人は期待以上の答え方をして、大きな成果があった。『読めない中国語』の証拠書類は調書に「通訳不能」と記載されることになる」と評価しました。
来日後、第1次受入機関の雲仙アパレル協同組合で研修をうけたときにサインをさせられた「罰則・罰金規定」について、被告側代理人が「実際に罰金を払った実習生がいるのか」と問うと、原告は「払った人はいない。誰も規則を破っていないから払っていない」と答え、この規定が実習生たちを抑圧していたことを浮き彫りにする質の高い証言だったと例をあげて紹介しました。
 傍聴した支援者からも「ほんとによく頑張って答えていた。たたかってきた人の強さを感じた」と、二人の奮闘にねぎらいの声があがりました。

 傍聴者から「被告側の反対尋問は、原告の主張を裏付けるような内容だった」と質問が出され、弁護団は、「残業代や労働時間などはこれまでの弁論準備期日のなかで原告の主張が認められており、被告側は原告に聞くことがなかったので、結果的に主尋問の補充をする形になっていた。被告側代理人はそれぞれ責任を押し付け合う質問をして、お互いに足を引っ張り合うような尋問になっていた」と説明、「次回の被告側尋問が原告弁護団の主戦場であり、不法性を明らかにしたい」と述べました。

■全国の実習生裁判をリードする争点

 長アの事件は、全国で係争中の20件ほどの外国人実習生裁判のなかで唯一、仲介ブローカーを被告にしています。ブローカーが研修生の残業代をおどしの担保にしていたことや、労働組合からの脱退工作に関与していたことが二人から証言されました。外国人実習生をめぐる不法行為の多くにブローカーが介在していますが、表面化することはほとんどありません。被告ブローカーの不法性を認める判決が得られれば、外国人実習生制度のあり方に大きな影響を与えることができます。
 また、国際研修協力機構(JITCO)も被告にしています。原告の李さんは2009年9月、縫製工場在職中にJITCOの母国語相談に残業代や暴力について電話相談をしていますが、JITCOはまともに対応していませんでした。JITCOを被告にした裁判で責任を認めさせた判決はありませんが、原告がJITCOに直接接触した事例も長崎のみであり、特別な意味があります。

7月の被告側尋問の傍聴を!
 
7月17日(火)10時20分からリズミック元社長、午後から雲仙アパレル協同組合代表理事、上海世華社長、上海世華通訳の尋問があります。傍聴をお願いします。

2012年02月29日

=外国人労働者問題シンポジウムin福岡=

外国人実習制度の実態と問題点について意見交換

 2月25日、福岡市で全労連九州ブロック主催の「外国人労働者問題シンポジウム−研修生という名の奴隷労働を斬る!」が開かれ、約70人が参加、長崎からは14人が出席しました。

「雲南省に牡蠣剥きの技術は必要か?」

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 この問題を長年告発し続けているジャーナリストの安田浩一さんが講演。時給300円で人権を無視された労働を強要されている制度の背景を、取材した中国の送り出し機関の実態、受け入れている日本の零細企業の実状を赤裸々に話されました。現在、日本にいる実習生は約17万人、その85%が中国人です。
「中国側では、日本に実習生を送り出すための政府の教育機関があり、『日本の経営者に喜んでもらえる人材を育てる』として軍隊なみのシゴキで、どんな境遇にも耐える訓練をしている。派遣会社のバックには暴力団がついており、実習生は法外な保証金や日本での過酷な待遇に声をあげることができない。」
 「日本の進んだ技術を移転することで国際貢献というのが制度の趣旨だが、『水産加工場で牡蠣の殻をむいている実習生、雲南省にその技術は必要か?』、受け入れ先は、安い労働力に頼らざるを得ない地方の零細企業だ。送り出し国と受け入れ国の利害が一致して成り立っている制度だ。」

 弁護士、労働法研究者、支援団体を交えてのシンポジウムには、長崎県労連からも「朋友−島原中国人縫製実習生訴訟」の報告をしました。
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 『外国人労働者をどう受け入れていくか』という課題について、「安い労働力を使わないと成立しない日本の現状を放置したままではだめだ。労働法に例外をつくらないという鉄則を守らなければ、受け入れてはならない。」、「この制度は『貧困と格差』に結びついている。外国人実習生が日本で生活できる過程を経て、労働開国にむかうべき。」という意見が出されました。

2012年02月06日

外国人実習生問題福岡シンポジウムのご案内

 2010年2月15日に提訴した島原縫製中国人実習生損害賠償請求訴訟は、これまでに11回の弁論準備期日が開かれ、いよいよ5月28日と29日の両日、中国から原告を呼んでの本人尋問、7月17日には被告側4人の本人尋問がおこなわれます。
 ところが昨年、熊本阿蘇農業実習生訴訟の地裁・高裁判決は、使用者も労働者も、労務の提供があり対価のやりとりをしているということが明らかになっているにもかかわらず、それを労働ではないとする労働法の常識を見失う内容でした。立法・行政の後すら追わない、司法の役割に背を向ける「研修生の労働者性を認めない」という不当判決です。
現在、最高裁に上告していますが、最高裁が「国民的常識」を維持し、全国的に世論形成を図るために、全労連は、全国レベルとしての東京シンポ及びブロックレベルでの福岡シンポを企画しました。
長崎県労連、「朋友−守る会」としても、福岡シンポに積極的に参加し、「外国人実習生制度」の各地の実態や課題について学び、朋友−島原中国人縫製実習生訴訟の勝訴に向けたとりくみをすすめたいと思います。
 次の実施要領のとおり、福岡シンポジウムへのご参加をお願いします。

【外国人実習生問題福岡シンポジウム】
日  時  2月25日(土)14:00〜17:00
場  所  福岡センタービル会議室
福岡市博多区博多駅前2丁目2番1号 福岡センタービル10F
参加要請  各単産・単組から1名以上のご参加をお願いします。

【外国人実習生問題福岡シンポジウム】実施要領
(添付の福岡シンポチラシ.pdfをご参照ください)

日  時  2月25日(土)14:00〜17:00

場  所  福岡センタービル会議室
       福岡市博多区博多駅前2丁目2番1号 福岡センタービル10F

プログラム
  14:00〜14:05 主催者あいさつ
  14:05〜15:00 講演(55分)ジャーナリスト 安田浩一氏
          「外国人実習生制度の実態と改正入管法後の現状を告発する」
  15:00〜15:15 休憩
  15:15〜16:55 シンポジウムとまとめ
  16:55〜17:00 閉会


貸し切りバス運行予定
9:30 長崎市民会館ヨコ出発
      東長崎経由(途中バス停での乗車できます)
10:00 喜々津駅通りバス停
10:15 諫早駅西口
10:30 大村インターから高速
13:30 会場到着
14:00 シンポ開始
17:00 シンポ終了
20:30 長崎市民会館到着予定

バス代・参加費〜無料
  
バス申し込み〜県労連(乗車希望場所をお知らせください)